パラスポーツの楽しみ方

さて、今回はせっかくですので、今世間の話題を集めつつあるパラスポーツについてお話させて頂きたいと思います。

パラスポーツというのは簡単に言えば障害者スポーツのことで、様々な障害のある選手が行えるよう工夫されたもののことです。
それには既存のスポーツをパラの選手向けに修正したものと、パラスポーツ選手向けに新たに考案されたものとがあります。

前者の場合はその障害の程度に応じて、細かくカテゴリ分けされている種目が多いです。
例えば陸上競技であれば、トラック種目の視覚障害クラスだけでも見え方の程度に応じてT11~13までのカテゴリがありあます。(数字が少ないほど障害の程度は重くなります)
※Tはトラック種目のTなので、フィールド種目はFになります!
そのうちT11,T12はガイドランナー(伴走者)を着けることができます。

制度上の視覚障害のカテゴリは3つですが、選手の見え方は様々で、ある程度見えるけど視力の矯正ができない、片目がぼんやりと見える、視野の一部が欠けている、明るさを感じる程度、全く見えない、また先天性/後天性など様々です。
クラスは視力と視野直径によって決定されます。

T11のクラスでは全盲の選手もそうでない選手も、不透明なゴーグルなどで目を覆うことで公平性が保たれています。(なので恐らくT11クラスは伴走者が居ないと競技するのは難しいでしょう)

詳しい説明は、日本パラ陸上連盟のHPをご覧くださいね。

伴走者というと、皆さんが想像しやすいのは二人三脚みたいな感じでしょうか。
実際は足を縛るのではなく、「ガイドロープ」や「テザー」などと呼ばれる伴走用のロープを持って走るのですが、手足の動きが揃っていないと速く走ることができないどころか、転倒の原因になってしまいます。

運動会なんかで行う二人三脚は「イッチニ、イッチニ」くらいのリズムでしょうが、パラの陸上競技には100mもありますので、かなりのスピードが出ます。
この場合、伴走者のスピードが選手よりも遅かったら逆に足を引っ張りかねないのです。

女子選手の場合は男子の伴走者がつくことができますが(それでもリズムを合わせるのは至難の業なのと、後述の理由により失格のリスクがあります)男子であれば相当速い選手がつかなければなりません。
練習するにあたっては二人の体調も、日程も合わせなければなりません。
伴走には様々な努力と工夫がなされているのです。

陸上競技のトラック種目には他にも車椅子種目や、義手・義足・肢体不自由・知的障害など様々なクラスがあります。

私が現役中、冬季はよく沖縄で合宿していたのですが、その際車椅子競技の選手と一緒になることがよくありました。
たかが車椅子と侮ることなかれ、「レーサー」と呼ばれる競技用の車いすのスピードは相当速いです。
競輪の自転車ですか?と思うくらいのスピードで、迫力があります。
しかもそのスピードで、コーナーに沿って綺麗に曲がっていくんですよね。
それが可能なのはレーサーについている「トラックレバー」と呼ばれる装置で、選手はコーナーに入るときこのレバーを叩いてコーナーに合った角度に固定します。(角度は予め調整しておくそうです)
そして直線に入るときこのレバーを再度戻します。
よく見ていると、コーナーの出入り口でレバーを「ガツン!」と叩いている姿を見られます。

レーサーはとても軽量で、車椅子競技の選手が競技場に入ってくる際、片手で自分の車いすを動かしながら、もう片手でレーサーを押して移動するという光景が度々見られます。(その時点ですごいテクニックなのですが…)
そして高速で回転する車輪を叩くようにしながら絶え間なく後ろに回して進むのです。
私だったら車輪の回転に怖気づいて、車輪を捉えることもできなさそうです。
もちろん素手ではケガをしてしまうので、グローブという手にはめる道具を使います。
これはモノによってかなり感触が違うらしいです!
私はあまり車椅子競技に詳しくないのですが、オープンレーンの種目となるとそれこそ競輪のように風の抵抗などを考慮したり、ラストスパートで出やすい位置をキープしたりと、様々な駆け引きがあるとか…
走るより速い!そんな車椅子競技のスピーディな展開、是非一度ご覧になってみて下さいね。

またレーサーもそうですが、義足など道具の進歩も目覚ましい今日この頃。

スポーツ好きでなくでも興味がそそられる要素が沢山あるのではないでしょうか?

そういった要素も含めパラ五輪は沢山見どころがあると思いますが、なにより、我々が想像できなくらいの様々なものを乗り越えてきたパラアスリートの不屈の精神、これに注目したいですね。

なぜなら、パラスポーツでは障害の程度に応じて特別なルールが設けられてはいますが、根本的なルールは健常者スポーツと同じだからです。

冒頭に述べたT11、T12のクラスでは、伴走者が先にゴールしてしまうと失格となります。

もちろん、速い選手に引っ張ってもらった方が速く走れるのでしょうが、あくまでも選手自身の力で勝敗を競うのがパラスポーツ。

そして、健常者の陸上競技と同じく、見えないからといってレーンの内側に入ってしまったり、故意に他のレーンの選手を妨害してしまったりしても失格となるのです。
幅跳びの選手も、踏切のゾーンは通常よりも広く設定されていますが、そこを超えるとファールなのです。

私も初めて知ったときはびっくりしました。
視野が不十分な中でまっすぐ走ったり、踏み切ったりするのはどれほど難しいことでしょうか…

私も現役時代に所属していたチームでは、視覚障害のある選手2人と一緒に練習していました。
彼女たちはとにかく負けん気が強い!
障害を抱える中で陸上競技を続けるという事は、想像を絶するほど大変なことですから、精神力も人一倍です。
練習で「これくらいのペースで行こう」と決められたペースを上回ってきたりと、常に限界を超える、底なしのチャレンジ精神の持ち主です。
(その甲斐あってか、今度のパラ五輪にも後輩が一人出場します!)

さて、ここまでご紹介できたのは、陸上競技のうちの更にほんの一部ではありますが、パラスポーツには本当に様々な工夫が凝らされていて、へぇ!と思うような種目も、まだまだ知られていない種目もたくさんあります。

先述したようにパラスポーツのために考案されたものの中には、健常者も一緒に楽しめるスポーツもたくさんあります!
ボッチャやシッティングバレー、ブラインドサッカーなどなど…
純粋な身体能力というより五感とセンスが問われそうな種目ばかりです!運動が苦手!という方も意外な才能を発揮するかも…!?

現在の状況下ではこういったスポーツを体験する場も失われていて残念なのですが、いつか機会があれば是非チャレンジしてみてほしいです!

パラ五輪の開催によりパラスポーツも盛り上がりを見せていますが、残念ながらパラスポーツというものは健常者スポーツに比べ予算が潤沢に無いケースも多く、協会派遣の海外遠征でも渡航費用は自己負担、ということも少なくありません。

パラの場合はそれに加えて、例えば車椅子競技の選手であれば車椅子の輸送費用、それに関わる人員の準備など、大きな負担が生じます。
更に、国際大会に出場するパラアスリートは、身体機能のテストの他、クラス分けのための大会に出場する必要もあります。
経済的負担はかなりのものとなりますが、まだそれを支援する制度は多くは無いと思います。
日本のパラスポーツの発展はこれからと言えるのではないでしょうか。

少しでもパラスポーツの認知度が上がり、パラアスリートが心行くまで競技を楽しめるようになればいいなと願いつつ。
是非、この夏はパラ五輪日本代表を応援しましょう!


Today's Recommend Item

こちらは件の元チームメイトのアスリートからお墨付きを頂いたアイテムです!
視覚障害のある彼女は、光が眩しく見えるため、目がとても疲れるのだそう。
アクセフリカバリーシリーズのアイマスクは、目の疲れにとても良いとのことです!

私も以前はよく使い捨てのホットアイマスクを使っていましたが、こちらの製品であれば程よい暖かさと心地よさで、真夏でも使えます。
国際線での移動など、出張や遠征でも活躍しそうですね!
椿オイル配合でしっとりした肌触りなので、それだけでリラックス効果がありそうです。
次は私も試してみたいです♪

RUN ON !!

元アスリートのアクセフコーディネーター・青木沙弥佳による、 ハイパフォーマンスギア「AXF axisfirm(アクセフ)」のおススメ情報 毎週金曜日+αに更新中

青木 沙弥佳
(Aoki Sayaka)

岐阜県岐阜市出身。
中学時に陸上競技を始め、福島大学時に初の日本代表となる世界陸上、そして北京五輪に出場。
専門種目は400m、400mH。
大学卒業後は実業団選手として長く日本のトップで活躍し、2015年に出場した北京世界陸上では4×400mR日本代表メンバーとして日本記録を樹立。
2020年10月に陸上競技を引退し、2021年アクセフコーディネーターに。

AXF axisfirm(アクセフ)公式ブランドサイト

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