リレーを極める ①(4×100mリレー)
さて、今回のテーマは「リレー」です。
リレー競技というのは、日本人であれば恐らく多くの方が経験したことはあるはず。
運動会、体育祭でも花形競技ですよね。
陸上競技においては、近年日本の「お家芸」と呼ばれるようになったリレー競技。
先日もドキドキしながら見守った方も多いのではないでしょうか?
今回、男子の4×100mリレーは残念な結果ではありましたが、あのままバトンが繋がっていたら相当速いタイムが出ていたのでは…と思います。
勝負の世界にタラレバはないのですが、いつかまたあのメンバーの走りを見てみたいですね。
私も現役中は、よく4×100mリレー、4×400mリレーを走りました。
私はロングスプリントの選手ではありますが…実は44秒37という、単独チーム(日本代表などは除いた、一所属だけのチーム)の日本歴代1位の記録を持っていたりします。
私の所属していたチームがショートスプリントの力を磨くことにも力を入れていたからというのもありますが、実は女子でリレーを走れる選手が4人揃う実業団チームがなかなか無いというのも現状です。(それにしてもこの記録は速いと手前味噌ながら思っております。笑)
何でそんなに速かったかと聞かれると、スプリント力に加え、適材適所と信頼感。これが鍵だと思います。
リレーでどの選手をどの走順に配置するかでかなりタイムは変わってきます。
同じ11秒7の選手が4人揃っていたとしても、スタートが得意なタイプ、中間の伸びが良いタイプ、後半強いタイプ、100m以上走れるタイプ、コーナーが上手いタイプ、また本番に強いタイプ、弱いタイプ、など様々です。
例えば私は100mのタイム自体は抜群に速くはありませんが、コーナーがめちゃくちゃ得意という変わったタイプでした。
なので、高校生くらいの時から3走を任せられることが多く、「3走職人」を自負しておりました。笑
勝負が決まるのはアンカーと思われがちなのですが、実は3走ってかなり重要な役割を持っていて、コーナーであるが故に逆転のチャンスでもあるのです。
ですから、そこで一気に内側から抜いたりするのはとても気持ちが良く、実は美味しいポジションなのです。
同じようにスタートが得意・コーナーが得意な選手は1走、中間疾走が良い、100mよりも長く走れる選手は2走、エースや勝負強い選手は4走など、もちろん基準はこれだけではありませんが、そうやって選手の特性に合わせて走順を采配します。
前述の単独日本記録のメンバーは、その適材適所がかっちりハマった例だと言えるでしょう。
そしてもう一つ欠かせないのが信頼関係。
前所属では、年がら年中リレーの練習をやっていた訳では無く、バトンを合わせるのは大会が近くなってからでした。
それでも絶妙なバトンワークができたのは、お互いのスピード感を分かっていたからだと思います。
次の走者は前の選手が走ってくるのを正面から見ることになるのですが、走ってくる選手との距離感を掴むのはなかなか難しいのです。
たまに国体など、即席チームでリレーをする場面もあったのですが、そういった際に一番苦労したのがそこでした。
その選手は普段どれくらいで走って、最後はどれくらい失速するのか、また調子はどれくらいなのか、風はどれくらいなのか。
その辺りを全て計算した上で走り始めなくてはなりません。
リレーはテイクオーバーゾーンの入り口から手前にマークを置くことが許されているのですが(普通はメジャーなどは持ち込めないため、選手は足長といって、歩数でマークまでの距離を測ります)、その位置は0.5歩単位くらいで精密に打ち合わせておきます。
この時問題になるのが、「攻めるかどうか」のところです。
前走者と次走者がお互いに手を伸ばした距離を「利得距離」と呼びますが、利得距離が長ければ長いほどタイムは短縮できます。しかし、長すぎれば届かないというリスクを負うことになります。
優勝できるかもしれないが、失格になるかもしれない。
そんな賭けをしなければならないシーンもあります。
そういった挑戦、判断を下すのはとても勇気のいる事ですよね。
フィギュアスケートでも成功率は低くても四回転にチャレンジしたりしますし、バスケットボールでもゲーム終了間際にスリーポイントシュートを放つこともあります。
どんなスポーツも一か八かの挑戦の連続なのです。
私が自分のチームで4×100mリレーの単独日本記録を出した時、見えてはいないけど後ろの選手が走ってくる感覚がなんとなくあって、「この選手なら絶対追いついてくれる!」という信頼感があったので、良いスタートダッシュをすることができたのだと思います。
また、私から第4走者の先輩に渡す際も、練習の時より少し遠い感覚はあったのですが、その先輩は「青木なら絶対来てくれる」と思ってくれていたそうで、良いダッシュをしてくれました。(私は超ギリギリでしたが死ぬ気で渡し、走り終わった後は足がもつれて転びそうになりました。笑)
そこまで信頼しあえるチームメイトに出会えたこと自体が宝物だなぁと思います。
さて、ここまで4×100mリレーのお話ばかりしてしまいましたが、リレー種目ってそれだけじゃないんですよ!
この記事で全部のリレー種目を紹介したかったのですが、まったくもって書ききれなかったので、また次の機会には、私の専門種目でもあった4×400mリレーについて語らせて頂きます!
五輪が終わった今、中々テレビでリレーを見られる機会はないかもしれませんが、動画共有サイトなどでは様々なリレーの動画がアップされています。
世界大会はもちろん言うまでもなく素晴らしいのですが…毎年10月末頃に行われる「日本選手権リレー」という大会も中々見ごたえがあります。
多くの選手にとってシーズンの締めくくりであり、リレー日本一を決める大会です。
その辺りで検索して頂けると様々なリレーの名シーンがご覧になれるかもしれません!
(ちなみに単独日本記録を出したのは、2012年の日本選手権リレー、女子4×100mリレーの決勝です!アンカーの選手が速すぎて髪を結んでいたゴムが吹っ飛んでしまいました!笑)
もしリレー競技を目にする機会があれば、是非計算しつくされたバトンパスと選手の信頼感に注目してご覧ください!
Today's Recommend Item
リレーで大切なのはチーム力。
チームとしての一体感を高めるために、お揃いのアイテムを身に着けてはいかがでしょうか?
アクセフのシリコンブレスレットは着けていても気にならず、汗にも強いのでおススメです。
何よりカラー展開が豊富!きっと欲しいカラーがみつかるはず!
お気に入りのカラーを身に着けて、チーム力をアップしましょう♪
【アクセフスポーツアカデミー 参加者募集中!】
8/25(水)に岐阜メモリアルセンター補助競技場にて、中高生 → 小学5、6年生、中学生、高校生の皆さんを対象とした「アクセフスポーツアカデミー」(陸上教室)が行われます!
(募集範囲拡大しました!)
定員50名、先着順にて募集中です。
申込〆切は8/16まで。まもなく申込〆切です!
以下のページに詳しいご案内と申込フォームがあります。
是非ご参加くださいね!
0コメント