アスリートとアンチ・ドーピング③
さて、長きにわたって(?)書いてきたドーピングシリーズも三回目となりました。
前々から言っているように、この記事はまだドーピング検査を受けたことが無い中高生の選手や、その親御さんに読んでいただけたらな~と思って書いています。
なのでトップアスリートの方からすれば既知の事でしょうし、趣味でスポーツをされている方からすればそんなに神経質になること?と思われるかもしれませんが、どうぞご了承くださいね…!
ちなみに第1回目は、どんな物質が禁止されるかのお話。
第2回目は、ドーピング検査の手順のお話をさせて頂きました。
今回は日頃どんなことに気を付けたらいいかのお話になります。
北京冬季五輪は無事閉幕し、日本選手団は過去最多のメダル数に。多くの感動が生まれた素晴らしい大会となりましたが、アスリートを取り巻くドーピング問題が浮き彫りとなった大会でもありました。
「本人の意思であったかどうか」ということが争点となっておりますが、私は本人の意思であったかどうかに関わらず、まず第一にドーピングがあってはならないこと、ということは声を大にして言いたいです。
ドーピングと縁遠い、自分は親やコーチに薦められたものしか口にしてないから大丈夫…と思っていても、もしその大人の認識が間違っていたら?
もしくは、非常に残念なことですが、大人がドーピングと分かった上で、わざとやっていたら?
中には精神的に支配されていたり、年齢的に押さなかったりして、コーチに逆らえない、という選手も居るでしょう。
だからまずは指導者が平然とドーピングをさせようという気風こそ廃絶すべきと思います。
日本ではドーピングをしないのは当たり前、という気風ですが、海外のごく一部の界隈ではそういうのはあるところではあるみたいです。(私もどこの誰が、ということは知りませんので、あくまでも風の噂レベルの話です…念のため。)
選手も、可能な限りNOと言えれば良いのですが…その辺りは「そうすべき」と分かっていても直ぐに解決できるほど簡単な問題では無いです。
アスリート、スポーツをする者の義務として、日頃自分が飲む薬やサプリメントが、ご両親やコーチ・監督に薦められたものであっても、それが何であるかしっかり把握し、ドーピング違反を犯さないように気を付ける必要があります。
難しいことかもしれませんが、これを機に自分が口に入れるものについてしっかりと認識を改めると良いかもしれませんね。
今回話題になっているのが五輪での出来事なので、遠い話に思うかもしれませんが、日本でも以前、故意に他人の飲み物にドーピング物質を混入させるなどの事件が起きていますので、思ったよりも身近な問題だと思います。
以前もお伝えしましたが、中学生が出場できる区分のある国体でもドーピング検査は行われています。
今後を担う未来あるアスリートには、ドーピングに関する事を面倒な事と思わず、当たり前のこととして受け入れて行って欲しいなぁと思います!
そして、スポーツをするお子さんをお持ちの親御さんには、普段から飲む薬などにご留意頂ければと思います。
(特に軽い風邪などで、安易に薬局で売っている総合感冒薬や栄養ドリンクを飲んでしまわないよう気を付けて下さいね…!)
自分や自分の教え子、子供がドーピング違反してしまわないか心配!という方は、
①「使用可能薬リスト」を携帯し、使ってもいい薬を自分から提示する
自分がドーピング検査対象になるはずがない…と思っていてもやってくるのがドーピング検査です。検査は疑わしいかどうかではなく、ランダムに対象となります。
使用可能薬リストには主要な症状に使える薬が載っていますので、携帯されることをオススメします。
お医者様や薬剤師さんに「スポーツをしており、ドーピング検査の対象になるかもしれないので、この中で出していただけるお薬はありますか?」と聞いてみましょう。(決して恥ずかしいことじゃないです!)
お薬の中には「A」とか「錠」とかが付くだけで成分が変わるものがありますので、必ず正式名称を伝えるようにしましょう!
②「スポーツファーマシスト」に相談する
ドーピング物質に詳しい「スポーツファーマシスト」と呼ばれる薬剤師さんが各都道府県にいらっしゃいますので、ここに相談すればまず間違いないです。
電話やメール、ファックスなどでも相談可能ですので、不安な時はお薬を飲む前に相談しましょう!
使用可能薬リストに載っている薬が使える薬の全てでは無いため(あくまで代表的な薬剤のみ載っています)リストに載っていない薬を使用する場合は、事前にスポーツファーマシストに相談すれば安心です。
しかし、アスリートも人間。
時には大怪我や病気をすることもあります。
もし禁止物質を使わないと病気が治療できないとお医者様に言われたとき…
もしかして引退しなくてはいけないのかな?と思うかもしれませんが、「TUE(治療使用特例)申請」をすれば、医療上の行為として使うことができる物質もあります。
よくある例ですとぜんそくの吸入薬とかですね。
意外に思われるかもしれませんが、ぜんそく持ちでもトップレベルで活躍しているアスリートは沢山います! (私も一時期咳ぜんそくでした…)
そのような時は是非TUE(治療使用特例)申請を検討してくださいね。
これは、「この病気の治療にこの物質が必要と医師に言われているので、使用を許可して下さい」と機構に伝えるための申請です。
詳しくは⇓
という訳で、このシリーズはなんだか何かの啓発のような内容になってしまいましたが…笑
残念ながらタイムリーになってしまった話題なので書かせて頂きました。
この一連のシリーズは、これからドーピング検査を経験するであろう学生アスリートの皆さん、その親御さんや指導者さんに向けて書いてみたつもりです。
検査…って、なにをするか分からないと、純粋に不安ですからね。
その不安が少しでも和らぐとともに、うっかりドーピング違反防止の為に、お役立て頂ければと思います!
0コメント